概要
エポキシ樹脂に、コーヒー豆を封入して、透明オブジェを作ります。
ここではエポキシ樹脂にコーヒー豆を封入する方法を紹介します。
Pic.1 コーヒー豆のオブジェ
使用するもの
材料
・エポキシ樹脂(クリスタルレジンNEO)
道具
・手袋
・カップ
・マドラー
・スポイト
・モールド(型枠)
・離型剤
・サンドペーパー
・コンパウンド
Pic.2 使用するもの
所要時間
・1週間程度(樹脂を3回に分けて硬化させるため、3日はかかります)
作り方
1.全体の流れ
今回は、コーヒー豆を樹脂の中心部に封入したいので、以下のような手順で作成します。
① 底層部分をつくる
② 中層にコーヒー豆を固定する
③ 中層・上層をつくる
Fig.1 イメージ図
Fig.2 作り方のフロー図
2. 型枠をつくる
樹脂を流し込む型を作ります。既製品の型を使う場合は、この作業は不要です。
(1) オブジェの形を決める
まず、オブジェの形を決めます。ここでは、シンプルな立方体を作ることにします。
Pic.3 形状の決定
(2) 展開図をつくる
形が決まったら、プラスチックの板に展開図を書き込みます。板は100均で購入しました。次に、展開図を切り出します。このとき、折り目にカッターなどで浅く切り込みを入れておくと、次の組み立てが楽です。折り曲げたときに山折りになる側に切り込みを入れます。
Pic.4 展開図の作成
(3) 型を組み立てる
(2)で作成した型を組み立てます。隣り合う面をテープなどでつなぎ合わせ、固定します。樹脂を流し込んだとき、漏れないように、きっちり止めておきましょう。
Pic.5 型を組み立てる(1)
Pic.6 型を組み立てる(2)
3.樹脂を混合する
クリスタルレジンNEOは、主剤と硬化剤を混合することで、化学反応を起こし、透明なエポキシ硬化物を作ることがきます。混合比は、重量比2:1(主剤2:硬化剤1)です。
主剤と硬化剤を、それぞれ必要なだけ取り出し、混ぜ合わせます。
(1) 主剤・硬化剤の取り出し
主剤と硬化剤を、必要なだけ取り出します。
混合後の樹脂は、液体のまま保存できないので、あらかじめ必要な量を把握して、無駄のないように取り出しましょう。
また、混合比がずれると、硬化不良を起こす恐れがあるので、はかりで正確に計量しましょう。
Pic.7 樹脂の計量
(2) 樹脂を混合する
主剤と硬化剤をマドラーで混ぜ合わせます。
満遍なく混ぜないと、硬化不良を起こすことがありますので、入念に混ぜましょう。
主剤と硬化剤が混ざってくると、感触が変わってきます。混ざり具合の参考にしてください。
混合後の樹脂は、徐々に硬化し始めます。取扱説明書には、作業可能時間(可使用時間)70分と書かれていますが、反応の速度は温度によって異なります。温度が高いほど早く硬化するため、作業時の環境に合わせて手早く混合を済ませましょう。
Pic.8 樹脂の混合
(3) 気泡を取り除く
樹脂を取り出すときや混合するときに、内部に気泡が含まれることがあります。
気泡が残ったまま硬化すると、完成後の見栄えに影響します。
気泡なしのオブジェを作りたいときは、気泡を取り除きましょう。
ここでは、樹脂を40℃程度に温め、流動性を高めてから、浮いてきた気泡をスポイトで吸い取りました。
Pic.9 気泡を取り除く
4. 型へ流し込む(底層をつくる)
Fig.3 イメージ図(2)
底層部分を作ります。型の深さ1/3程度まで、3.で作った混合樹脂を流し込みます。
樹脂は1か所から、ゆっくりと流し込みます。
流し込むときに気泡が入ったら、3.(3)と同じようにして取り除きます。
5. 中層にコーヒー豆を固定する
Fig.4 イメージ図(3)
底層の樹脂が固まったら、コーヒー豆を置きます。
このとき、少量の樹脂を、接着剤がわりに底層の樹脂上に垂らし、その上にコーヒー豆を置きます。
こうすることで、次に樹脂を流したときに、コーヒー豆が浮き上がり、位置がずれてしまうのを防ぎます。
コーヒー豆の位置や向きを整えたら、硬化して固定されるのを待ちます。
Pic.10 中層に少量の樹脂を垂らす
Pic.11 コーヒー豆を置いたところ
6. 中層・上層をつくる
Fig.5 イメージ図(4)
樹脂が硬化し、コーヒー豆が固定されたら、中層・上層のスペースに樹脂を流し込みます。
※ 一度に流し込む樹脂の量が多いと、硬化時の発熱量が多く、高温になり、コーヒー豆や型が変質することがあります。
樹脂の量が多くなるときは、複数回に分けて流し込みましょう。
Pic.12 中層・上層に樹脂を流し込んだところ
7. 樹脂を型から取り出す
硬化が完了したら、樹脂を型から取り出します。
Pic.13 型から取り出した樹脂
8.仕上げ・研磨
型から取り出したら、仕上げに形を整えます。
はじめに、ばりや注ぎ面の形を大まかに整えます。
サンドペーパーなどのヤスリで、不要な部分を削ります。
次に、ヤスリの目を段階的に細かくしていきます。
仕上げに、コンパウンドで面を磨いて仕上げます。
根気のいる作業ですが、磨くことでツルツルピカピカの立派なオブジェが作れます。
Pic.14 ヤスリ・コンパウンドによる仕上げ(途中)
9. 完成
表面を磨き終えたら台座にセットして完成です。(台座も手作りなので、後日、作り方をアップしようと思います。)
焙煎具合の違うコーヒー豆を、生豆から順番に並べてみました。いい感じです。
Fig.15 完成したオブジェ
おわりに
今回はエポキシ樹脂にコーヒー豆を封入してオブジェを作りました。
出来はいい感じで、十分満足しています。これを眺めながらのコーヒータイムは、きっと充実することでしょう。
悔しかったのは、内部に少し気泡が残ったことです。いかにして気泡の少ないオブジェを作るかが、今後の課題になりそうです。
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