概要
昆虫の標本を作ります。
今回はミイロタイマイ(Graphium weiskei)というチョウの展翅をします。
ほかのチョウも同じ方法で標本をつくることができます。
作り方の詳細は、こちらのページで解説しています。
使用するもの
・昆虫
・昆虫針
・展翅板
・玉針
・展翅テープ
展翅
1. 三角紙から取り出す

標本を三角紙から取り出します。
標本はデリケートです。もろく壊れやすいため、無理な力がかからないように、慎重に取りあつかいます。

はねの裏側は、茶色ときみどり色をしています。
体と下翅の下部には毛が生えていて、フサフサしています。よく見ると、かわいい顔をしています。
ここで、次の作業に移る前に…
乾燥が進んだ標本の場合は、軟化(なんか)を行い、体を柔らかくほぐします。
軟化のやり方 は整理予定です。
2. はねの付け根の筋肉をほぐす
展翅をはじめる前に、はねの付け根の筋肉をほぐします。はねの付け根を針で数回刺し、筋肉を壊します。これをしないと、はねの位置を調整しても、もとに戻ってきてしまします。

3. 昆虫針を刺す
虫の体に昆虫針を刺します。胸部の真ん中に背中側から刺します。

このとき、針は昆虫の背中から垂直に刺すように注意します。
4. 展翅板に取り付ける
展翅板中央のミゾに、昆虫を設置します。
展翅板の板の上面とはねが同じ高さになるように、設置します。

次に、はねを開き、展翅テープをかぶせます。

はねを開くと、黒字に緑・青・紫の模様が見えました。
きれいな三色です。
紫色の部分は、ピンク色にも見えます。
模様の色はグラデーションになっていて、幻想的です。

展翅テープをかぶせました。今度は、はねの向きを整えていきます。
5. はねを整える
はねの向きを整えます。左右やりやすい方から、向きを調整します。上翅→下翅の順に整えていきます。

柄付き針を使って向きを整えます。
針先を翅脈にひっかけて、すこしずつ上へずらしていきます。このとき、はねを針でひっかかないように気を付けます。

左右対称になるように整えます。はねの位置は、上翅の下側が水平になる程度を目安に整えます。図鑑の絵やほかの標本も参考になります。
羽を持ちあげることができたら、はねから少し離れた場所に玉針を刺します。展翅板とテープの間にはねを挟み、はねを固定します。

左右のはねを整えおわりました。
6. 触角を整える
触角の向きを整えます。
柄付き針やピンセットを使って、慎重に向きや開き具合を整えます。

触角が展翅板に乗らないときや、高さがそろわないときは、上下に紙をしき、その間に挟むと高さがそろいます。

触角の向きを調節し終えたら、元の形に戻らないように針と紙片で固定します。

展翅がおわりました。
7. 乾燥させる
はねと触角を整え終わったら、湿気がなくて、直射日光が当たらないところに置いて、乾燥させます。
おわりに
今回はミイロタイマイの展翅をしました。
ミイロタイマイはアゲハの仲間に属しており、アオスジアゲハなどと比較的近縁な種にあたります。
体格は小ぶりですが、色彩が豊かで美しいことが特徴です。
生息地はパプアニューギニアで、外国のチョウですが、日本では有名なほうだと思います。例えば、ポルノグラフィティの楽曲「アゲハ蝶」のCDケースに写っているチョウもミイロタイマイです。
いつか、元気よく飛び回る姿を見てみたいと思います。
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